植物からの贈り物「精油」が瓶に入るまで

つづ子
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こんにちはつづ子です。

皆さんは「アロマ」と聞いて何を思い浮かべますか。

「アロマ」は芳香や香りを意味します。植物の香り、コーヒーやワインの香りも「アロマ」の一部です。

今回は、植物から抽出して得られる精油について詳しくご紹介します。

精油って知れば知るほど面白いんですよ。

精油とは

精油はエッセンシャルオイル(essential oil)とも呼ばれ、「植物の香り成分を抽出したエッセンス」です。通常、遮光されたガラスの小瓶で販売されます。

精油の定義

IFPA(国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟)の公式ページでは、精油を以下のように定義しています。

Essential oils are concentrated, water-repellent liquids that contain volatile chemical compounds. They are manufactured in the leaves of some plants during the process of photosynthesis and then stored in a variety of places, such as in the flowers, leaves, fruit, seeds, etc. Not all plants produce essential oils.

エッセンシャル オイルは、揮発性化合物を含む、濃縮された撥水性の液体です。一部の植物の葉で光合成の過程で生成され、花、葉、果実、種子など、さまざまな場所に蓄えられます。すべての植物がエッセンシャル オイルを生成するわけではありません。

https://ifparoma.org/what-we-do/ ”about Essential Oils”

この定義のうち、濃縮揮発性撥水性のポイントを押さえておくと精油の取り扱い方が分かるので便利です。

揮発性

揮発性のため精油瓶の蓋を開けっ放しにしてしまうと、揮発してしまいます。使用後はしっかり蓋をしめましょう。

濃縮

精油は非常に濃縮されています。そのまま肌に使用すると、刺激やトラブルを引き起こすことがあります。そのため、植物油等に薄めて(希釈して)使うのが基本です。直接手などに精油原液が触れないよう注意しましょう。

撥水性

水をはじく性質があります。精油は水と混ざりません希釈する際は、植物油やアルコールなどの油と溶け合う性質(親油性)をもつものと混ぜます。最終的に水と混ぜる場合でも、先に親油性のものに溶かしてから水を加えるのが一般的です。

精油について全く知らなかった頃は、気にせず使ってましたが(今考えると危険ですね)、今では「精油瓶は使う時だけ、(手に精油がつかないように注意して)開ける。すぐ閉める。」を注意してます。

その他にも熱、光、湿気で変化しやすいという特徴も持っています。特徴を知ると使い方も自然に分かります。

精油の香りは唯一無二な理由

精油の魅力はその香りの多様性にあります。

植物がそれぞれ特有の香りをもち、一つの植物の中にも何十種類もの精油成分を含みます。

同じ植物でも育つ環境によって、香りも品質も変わってきます。例えば、フランス産やブルガリア産などの国の違いから、地域、標高、収穫する時期によっても変わります。

また、抽出方法や工場の違いも影響します。

この「植物×環境×製造過程の違い」がかけ合わさり、この世には途方もない種類の香りが存在することになります。

あなたのお手元にある精油、次に同じメーカーの同じ精油を買っても、ロットが違えば厳密には異なる香りになるのです。これが合成香料にない精油の魅力です。

そう考えると、精油を買う時にワクワクします。

なぜ植物は精油成分を作るのか?

では、植物は何のためにこの精油成分を持っているのでしょうか?

人間のためでしょうか?

それは、主に「自分の身を守るため」と「子孫を残すため」と言われています。

自分の身を守るため

精油の中には、有害な菌・ウイルス・カビを殺したり、増殖を抑えたりする働きを持つものが多くあります。これは植物が有害な菌などに侵されるのを防いていると考えられます。

昆虫や草食動物に食べられないようにするため嫌がる香りを持つものもあります。レモングラスなど一部の植物の精油が虫除けに使うことができるのはこの香りのおかげです。

他の植物に養分を取られないように生存競争の相手を妨害する成分を持つ精油もあります。マツの葉の精油にはこの成分が含まれており、地面に落ちて、他の植物の成長を妨げていると考えられています。

子孫を残すため

花が受粉するためには、ミツバチや蝶などの昆虫や鳥などに花粉を運んでもらう必要があります。花や果実に含まれている魅力的な香りはこの昆虫や鳥などを引き寄せる役割を果たしています。

植物は天敵から自分の身を守りながら、同時に子孫を残すために必要な相手は呼び寄せているのです。

こうやって植物の視点から見ると、なぜ1つの植物に多くの精油成分が含まれているのか分かる気がしませんか。

おそらくここに挙げたもの以外にも植物が精油を作る理由は多くあり、今後解明されていくことでしょう。

私たちは植物が生存のために作り出した”精油”の有用な働きを分け与えてもらっていると考えると、自然の恵みに感謝の気持ちが湧いてきます。

どうやって人は植物から精油成分を抽出しているのか?

では、人はどうやって植物の濃縮エッセンスを小瓶に詰めているのでしょう。

精油の抽出方法は主に4つあります。

  • 水蒸気蒸留法 (steam distillation)
  • 圧搾法 (cold expression)
  • 炭酸ガス抽出法 (CO2 extraction)
  • 溶剤抽出法 (solvent extraction)

抽出方法の知識は、精油を購入する際に役に立ちます。解説していきますね。

水蒸気蒸留 (steam distillation)

植物原料を蒸気で熱して、成分を抽出する方法です。      

植物原料に蒸気を通して、揮発性の物質を抽出する方法です。蒸気釜で原料を蒸し、熱と蒸気によって、植物の中の精油を含む細胞を壊すことで蒸気とともに精油が放出されます。これを冷却コイルという管を通して冷やすと、精油と水で分離した状態になり、精油を取ることができるようになります。

化学薬品を使用せずに抽出することができ、装着の維持がしやすいため、多くの精油農家で採用されています。しかし、ジャスミンのように熱に弱い素材には適さないこともあります。

最も多い精油の抽出方法です。ラベンダー、ペパーミント、レモングラス等は水蒸気蒸留法で抽出されます。

余談ですが、高価な精油で知られるローズオットーもこの水蒸気蒸留法によってバラの花から抽出されます。ローズ・オットー精油1㎖を抽出するには約3〜4トンのバラの花びらが必要だそうです。なんと「トン」単位です!他の精油に比べて価格の高さにいつもびっくりしてしまいますが、その理由を知ると納得のお値段です。

IFPA資格取得コースの時にこのローズ・オットーが精油セットに入ってたのですが、その時はよく知らずに惜しみなく使ってしまったのを今でも後悔しています(涙)

圧搾法 (cold expression)

機械または手作業で果皮を絞り、精油を含むオイルを果汁から抽出させる方法です。柑橘系の精油によく使われます。分子量の大きい成分も抽出でき、熱を加えないので成分を変化させずに抽出することができます。

グレープフルーツ、レモン、ベルガモット等は圧搾法で抽出されます。

炭酸ガス抽出法 (CO2 extraction)

1980年代に導入された比較的新しい手法です。この手法で抽出された精油は、精油の名前に「CO2エクストラクト(CO2 Extract)」をつけて表示し、通常の手法で抽出された精油とは区別して販売されていることが多いです(例:”Geraman Chamomile CO2 Extract”→「炭酸ガス抽出法で抽出されたジャーマンカモミール精油」を意味します)。

液化炭酸ガス(二酸化炭素)を使用します。炭酸ガスを圧縮し、気体と液体と区別がつかない「超臨界状態」をつくります。この状態で炭酸ガスは有機化学物質にすぐれた溶解性を示します。精油成分が溶けた状態で加圧を解除すると、炭酸ガスは気化し、精油成分だけが得られます。

溶剤が残留する事なく、植物の機能や成分を失わず高品質の製品が得られるのが特徴です。

メリットが多い抽出法ですが、大がかりな装置が必要となるために、流通が少なく、高い価格設定になります。

精油販売サイトで、同じ名前の精油が並んでて高いなと思ったら「CO2 Extract」だったなんてこともよくあります。

近年、(個人的な感覚ですが)、CO2 Extractの精油を販売している精油メーカーさんが増えてきた印象です。

高品質という特徴から、医療現場で補完的に使用されるケースもあるようです。過去に欧州の講師の方の授業を受けたことがあるのですが、その時もこのCO2 Extractの精油を緩和医療で使用している事例を紹介してもらいました。

もちろん他の精油と同様、個人が楽しむためにも使われます。

残念ながら私はまだ使ってみたことないのですが、使用された方は「通常の精油よりも香りが植物に近い」とのことです。私も機会があったら、ぜひ使ってみたいなと思ってます。

溶剤抽出法

主に香水産業で利用される溶剤抽出法は植物原料を溶剤に溶かして精油成分を抽出します。

ジャスミンやローズなどの花の香りは含まれる精油の量が少ない上に高い温度で変質してしまう場合があるため、この抽出方法が採用されることが多くあります。

最終物質は「アブソリュート (Absolute)」と明記され、水蒸気蒸留法で抽出された精油とは区別され、植物名といっしょに明記されて販売されます。香りが強い、水蒸気蒸留法では壊れてしまう成分も享受できるという特徴がありますが、製造過程で溶剤や残渣物が完全に取り除かれていない可能性もゼロではありません。

以上、4つの抽出方法をご紹介しました。

精油を購入する際は、抽出方法もぜひ確認してみてください。植物によってほぼ1つの抽出方法しか見ないものもあれば、同じ植物でも複数の抽出方法を持つものもあります。

しかし、どの抽出方法でも共通して言えるのが、信頼できる精油メーカーから購入することが大事です。

信頼できる精油メーカーとは、植物原料、栽培方法、抽出方法を明記していることはもちろんのこと、消費者が安全・安心して使用できる情報を提供しているかもポイントになります。

「安全・安心」な情報についてはわたしも勉強中ですが、例えば安全な使い方のガイドや各種検査結果の提示などです。

まとめ

本日のまとめです。

精油とは-

  • 植物の香り成分を抽出したエッセンスです。
  • 濃縮揮発性撥水性がポイントです。
  • 植物×環境×製造過程の違い」で多様な香りを楽しめます。

なぜ植物は精油成分を作るのか?-

  • 自分の身を守るため
  • 子孫を残すため」と言われています。

どうやって人は植物から精油成分を抽出しているのか?-

  • 精油の抽出方法は主に4つあります。
    水蒸気蒸留法 (steam distillation)最も多い抽出方法です。

    圧搾法 (cold expression)柑橘系の精油によく使われます。

    炭酸ガス抽出法 (CO2 extraction):液化炭酸ガス(二酸化炭素)を使用しま、溶剤が残留する事なく、植物の機能や成分を失わず高品質の製品が得られるのが特徴です。現時点では流通が少なく、高い価格設定になります。

    溶剤抽出法 (solvent extraction)「アブソリュート (Absolute)」と明記されて販売されています。肌に使う場合などは、製造過程で溶剤や残渣物が完全に取り除かれていない可能性に気をつける必要があります。
  • 信頼できる精油メーカーから購入することが大事です。

精油を安全に楽しむために

精油を使う際は以下に注意しましょう:

  • 使用時のみ瓶を開け、必ず蓋を閉める。
  • 希釈して使い、直接肌に触れないよう注意する。
  • 信頼できるメーカーの製品を選ぶ。

精油は、植物が生存のために作り出した自然の贈り物です。その特性を理解し、安全に楽しむことで、より豊かな体験が得られるでしょう。

記事エビデンス度 (3段階自己評価)

教科書レベル、多くの書籍に同様の記述あり

※ただし、間に個人の感想や体験文も含んでいます

以上、つづく子からのつづくぽレポートでした。

今日もお疲れさまです。

よい1日を。

ABOUT ME
つづ子
つづ子
この記事を書いた人
子ども2人の4人家族、40代半ばの働くママ。学生時代に英国・米国で留学経験(語学学校含む)あるが、仕事で使えない中途半端な英語力の持ち主。 日本で英国アロマセラピー資格IFPA取得。西洋医学全般、アロマ、東洋医学などに興味あり。
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